【南極クルーズ旅行記】セレブリティクルーズで航く14日間!一生の思い出に残る絶景と感動の物語

2009年4月私は夫と共にワンワールドの世界一周航空券を使い、世界一周の旅へ出た。当時、世界一周旅行者の中で南米へ降り立った後に南極クルーズに乗船するというのがプチブームになっていた。

私たちも例外ではなく、そのルートを辿ることに。日本出発前に南極クルーズの発着地であるアルゼンチンはブエノスアイレスにいつ到着できるのかはわからなかったため、船は旅の途中でオンライン予約。

選んだクルーズは「セレブリティインフィニティ号」14日間の南極クルーズ。上陸する小型の客船ではなく、いわゆる“これぞクルーズ”というような大型の豪華客船だ。

世界一周の旅の途中から始まる新たな冒険

2010年1月、ブエノスアイレスに到着するや否や、我々は街へと繰り出した。
船上では数日に1回フォーマルデーという日がある。その日は老若男女皆が正装し、ディナーを楽しむ日なのだ。世界一周中は動きやすさを優先したカジュアルな服しか持参していなかった我々は、主人のスーツ・私のドレスも全てアルゼンチンで揃えた。

そして1月31日、乗船日がやってきた。
普段着まで考えていなかったため、手持ちの中で一番シンプルな襟付きのシャツを着て乗船。それでもかなりカジュアルな装いだったため、浮いてしまわないか心配していたが、その心配は一瞬で吹き飛んだ。

大陸からの乗船客はもちろんのこと、西洋人のご夫妻も上下ジャージ姿の方、Tシャツ・短パン・ビーチサンダルの方とかなり、、、いや予想以上にカジュアルだった。セレブリティクルーズのホームページにはTシャツやデニム・ハーフパンツはNGとの記載があるのにだ。あぁ、日本人ほど海外の方たちは気取らないんだなと安心した。

乗船後はウェルカムシャンパンで乾杯後、避難訓練。そうこうしているうちに船はブエノスアイレスから南極へと出航していた。

クルーズでまさかの客室アップグレード体験

避難訓練を終えた私たちは、これから14日間過ごす部屋へと向かった。実は事前にお部屋がアップグレードされたという連絡をもらっていた。我々が予約したのは窓なしのインサイドルームという一番ランクの低い部屋。なのでアップグレードといえどもせいぜい窓無しから窓ありになった程度かと思っていた。

しかし、扉をあけると驚きのあまり思考が停止してしまった。想像以上に広い部屋だったのだ。
といっても50㎡ほどなので都内のシティホテル同等サイズなのだが、豪華客船の客室でこの広さはスイートクラス以上でないと巡り合えない。

正直豪華客船のスタンダード客室は寝るためだけに作られているので、ビジネスクラスサイズだ。20㎡もない。(ただ本当に寝るとき以外あまり部屋に滞在することはなかったので、狭さは問題ではない。)
倍ほども価格の違うスカイスイートでも25㎡もない。1番価格帯の高いペントハウススイート程ではないものの、その次のスイートと同等の広さはあったかもしれない。(ただスイートクラスは一番下のクラスでも専用のバトラーがお世話をしてくれたりとお値段相応のサービスがあるので、あくまで広さだけの話だと思ってほしい。)我々の部屋は船尾なので船首に比べて揺れも小さめで、圧迫感もなく非常に快適だった。

また車椅子の方のためのお部屋だったため、バスルームにはバスチェアもあり、日本のように座ってシャワーを浴びることもでき、非常に快適に14日間を過ごすことができた。きっと車椅子の方がいなかったからこそのアップグレードだと思うが、こんなラッキーなことがクルーズでも起こりうるのである。

クルーズならではドレスアップしディナーを堪能

船内には、24時間利用できるレストランや、各階にカフェやバーが点在しており、いつでもどこでも食事を楽しむことができた。私たち夫婦は、朝食は24時間利用できるビュッフェスタイルのレストラン、昼食はカフェ、夕食時には少しオシャレして、コース料理が頂けるメインダイニングレストランを利用することが多かった。

メインダイニングは一部二部と時間が指定されており、テーブルも指定席だ。各テーブル毎にに専属ウェイターもいる。前菜からはじまりスープ・サラダ・メイン・デザート。毎夜コース料理を楽しんだ。フォーマルデーの際も、ドレスアップしてメインダイニングでディナーを楽しむ。普段、Tシャツに短パン姿の西洋人・上下ジャージのアジア人もこの日は見違えた。日本の客船ではお着物の方も多いと聞くが、私たちの船ではドレス・スーツ以外目にすることはなかった。

クルーズ最後の夜には、メインダイニングで「ベイクド・アラスカ」というイベントも開催された。ダイニングの照明を消し、ケーキにローソクの代わりに花火を挿し、ウェイターが全員パレードのようにダイニングを歩き回り、陽気にふるまうイベントだ。

普段笑顔のウェイターさんはより笑顔に、クールなウェイターさんはちょっぴりハニカミながら給仕しており、非常に楽しかった。
そして何故か最後に乗船客・スタッフ全員で英語版「蛍の光」を合唱。文化祭や体育祭のようなそんなどこか懐かしい気持ちになった。

クルーズ旅行のデメリット。それは「食べ過ぎてしまうこと」ではないだろうか。自己管理を徹底し、食べた分動かないとどんどん肥えていく。でも3、4日の短いクルーズだったら少しくらい食べ過ぎても、楽しんだ方がいいのではないかと私は思う。

船内イベントやショーも毎日の楽しみ

14日間の南極クルーズ、飽きたかと言われたら答えは「全く飽きなかった!」が私の回答である。私自身、家でじっとしているのが苦手な人間なので、乗船前は14日間も船の中なんて何して過ごそうと小説を3冊程持参した。結果、全く読む暇はなかった。

クルーズでは、毎朝船内スケジュール表が各部屋に新聞のように配布される。そのイベントスケジュールは朝から晩までぎっしり詰まっている。私たち夫婦はそのイベントに毎日のように参加していたからだ。食事の時間以外はほぼ何かしら参加していた。中でも毎日参加していたのは卓球大会とダーツ大会だ。世界各国の人とトーナメント方式で戦える。船内オリンピックだ。

南極クルーズは、南極に行くまでにいくつかの寄港地に寄り、観光することができる。寄港地は寄港地でもちろん楽しいのだが、「あぁ、今日はみんなで卓球できないのか。」と残念な気持ちになるほど楽しかった。

他にもWiiスポーツのイベントもあり、Wiiボーリング大会ではなんと私が優勝したのだ!世界各国の人から拍手喝采、称賛の声を浴び、金メダリストの気分になった。

当初イベントに参加していた日本人は私たちだけだったが、楽しそうにしている様子をみて、徐々に他の日本人旅行者も参加するようになった。最後の数日間は日本人だけで集まって夫婦対抗卓球大会を開催したりもした。

他にもクイズ大会・カラオケ大会・ビンゴ大会・ダンスパーティーにアートオークション、Ice Carving Demonstrationといって氷の彫刻をつくるパフォーマンスショーや各種セミナー等様々なイベントがあり、ほとんどのイベントに参加して過ごした。

参加したいイベントがない時は、バスケットをしたり映画をみたり、プールやジャグジー、ジムで体を動かしたり。利用しなかったがカジノやゲームセンターもある。

イベントの他に大好きだったのが、ディナー後のショータイムだ。船内には大きな劇場がある。そこでは毎夜ミュージカルだったり、サーカスだったり、バイオリニスト・ピアニストや歌手によるパフォーマンス、コメディアンショーーだったりと実に様々なショーが催された。劇団四季やシルクドソレイユが大好きな私にとってこの時間は天国だった。

もし夫婦だけで過ごすとしたら14日間のクルーズは非常に長く感じたであろう。勇気をだして言葉の壁を乗り越え参加してみると新たな楽しみ方が見えてくる。私は船内イベントへの参加を強くオススメする。

クルーズ寄港地で南極以外の地も訪れる

今回乗ったセレブリティインフィニティ号は
●チリのケープホーン
●アルゼンチンのウシュアイア、プエルト・マドリン
●ウルグアイのモンテビデオ
●フォークランドに寄港する。


ケープホーンは船内から眺めただけだったが、南米最南端の都市ウシュアイアでは、ビーグル水道や風に吹かれて斜めになっている木が有名である。ここでは国立公園を散策した。公園内で見つけたキツツキは、アメリカアニメ「ウッディウッドペッカー」そっくりだった。


アルゼンチン南西の都市プエルト・マドリンではゾウアザラシを見るために、バルデス半島ツアーに参加した。ゾウアザラシ以外にもマゼランペンギン・オタリア・キツネ・アルマジロ・鵜などを見ることができた。


ウルグアイのモンテビデオは旧市街を散策。ヨーロッパのような可愛らしいショップが多かった。

しかし、乗客の全員が一番楽しみにしていたであろう「フォークランド」にこのときは天候が悪く寄港できなかった。フォークランドではオウサマペンギン(別名キングペンギン)を見ることができる。寄港地の中で一番楽しみにしていた場所だったので非常に残念だった。キングペンギンが見たかった。モフモフのキングペンギンの赤ちゃんが見たかった。

これにより船内は一時険悪なムードになった。それほど人々はフォークランドへの寄港を楽しみにしていたのだと思う。そんなムードだったこともあり、船長の心遣いで南極滞在日数が3日だったところ4日に増やしてくださった。

乗客の気持ちが盛り上がったところで今度は最悪の事態が・・・今まで船長が経験したこともないくらいの悪天候となり、南米ホーン岬と南極の間の世界でも最も荒れる海域のドレーク海峡が突破できないというのだ。

「他の寄港地に行けなくなってもいいから南極にいってくれ!」乗客たちは口々に叫んでいた。天候ばかりはどうしようもない。どうしようもないからこの悲しみを乗客全員どこにぶつけていいのかわからなかった。

その後、日程やルートを変更し、なんとか南極には行けることになった。ただし、当初3日から4日に増えた南極クルーズは、この悪天候が原因で滞在日数はたったの1日になってしまった。

乗客の表情は非常に暗かった。あの出発したときの明るい雰囲気はどこへやら。
南極到着前日は非常にドンよりとした空気が船内を流れていた。しかし、南極に到着した瞬間、その空気は一気に消え去ったのだ。

絶景!極寒の地での感動的な瞬間

南極に行けないかもしれない・・・。不安で胸いっぱいだった数日。
なんのためにこの船に乗ったのかっと悲しい気持ちの中、たった1日だけど南極に行けることになった!

荒波のドレーク海峡を越え、朝4時30分にデッキに出ると・・・


「わああああ!!」と声を出さずにはいられなかった。凛とした凍てつくような寒さの中、壮大な光景が目の前に広がっている。

ついに・・・ついに来たんだ!!南極大陸!!悲しみなんてふっとんだ!


船内を歩くたびに聞こえていた不満の声もこの日を境になくなっていた。皆が笑顔だった、皆が感動していた。この日は乗客だけじゃなく、クルーも交代交代で記念撮影をしていた。船全体から幸せな空気に包まれていた。笑顔で溢れていた。


南極大陸には氷の上のまるで会議をしているようなペンギンたち、ゴロゴロと転がるアザラシ、クジラやシャチの姿も見ることができた。

寒さもこれまでに体感したことのない凍てつくような寒さだった。自前の服を全て着込んでも全く意味がなく、
人生で一番の寒さだったかもしれない。寒さに耐えながら船内とデッキを出たり入ったりを繰り返しながら、たった1日の南極をこれでもかと楽しんだ。

私たちが辿りついた南極大陸は「パラダイスベイ」と呼ばれる場所。予定通りだったら「エレファント島」「サウス・シェトランド諸島」「ゲルラッシュ海峡」も訪れ、あと2日もこの景色を堪能できた。


でも十分満足だった。感動して泣いてしまった人たちもいた。涙もろい私だがここでは泣かなかった。凄すぎて私はにやけてしまったのである。寒さでやられてしまったんじゃという位ニヤニヤしていた。

南極は最高だった。この船に乗って良かった。このとき誰もがそう思ったに違いない。大きな大きな思い出となった。このとき見た景色を私は生涯忘れないであろう。

クルーズ旅の最大の魅力は「人との出会い」

世界各国の人が一同に介し、目の色・髪の色・肌の色も違えど、言語も違う。日常生活でそのような空間が果たしてあるだろうか。そんな方たちと、あっという間に旧知の仲のような関係性になれるのだ。

特に船内イベントに参加していると、だいたい毎回参加しているメンバーの顔は覚えるし、スポーツを通して心の距離がグッと近づく。卓球イベントでは毎回優勝する、もうオリンピック選手顔負けなサーブを繰り出すカナダ人のご夫婦が卓球の基礎を教えてくれた。

中でも印象的だったのはスイス人のご夫婦だ。いつも船内で会うと声をかけてくれ、親切にしてくれた。ABBAが大好きなご夫婦だったのでディナー後のショータイムでシンガーがABBAを歌いだしたときには手を取り合って喜んだ。今でもお二人の笑顔は思い出すことが多い。

日本人の若年層の夫婦は目立っていたのか、各国の方から声をかけられる機会も非常に多かったように思う。皆さん世界一周の話を興味津々に聞いてくださった。

乗船客のみならず、スタッフとの関係性もそうだ。下船の時にはハグをして互いに涙を流した。私たちのディナーテーブルの担当スタッフ、いつも船内イベントの進行をしてくれたスタッフ、この2人とは毎日顔を合わせていたし、いろいろな話をした。ただの乗船客とスタッフという関係性ではなかった。もっともっと心の奥で繋がっていた気がする。

日本人の旅行者も8組乗船していた、私たちを含む5組は世界一周中のご夫婦、残りの3組はいわゆる富裕層のご年配のご夫婦だ。

日本人同士ということで、一緒に食事やショーを楽しんだり、宿泊されているスイートルームへ案内して下さり、日本から持ってきたという梅干しとお味噌汁を振舞ってくれたり。ニューヨーク在住のご夫婦は「NYに来る時は、我が家に泊まりなさい」と連絡先と住所までメモして渡してくださった。

旅人たちとは、お酒や料理をテイクアウトし、客室内でまるで家飲みのように語り合ったことも。日常の中で身内でもない、同世代でもない人たちとここまで仲良くなることもないと思う。

南極クルーズで出会った方たちとは帰国後も連絡をとりあい、互いの家に遊びに行ったり、年賀状のやりとりもいまだ続いている。そのくらい濃密な時間を過ごすことができる旅。それがクルーズなのだ。

14日間の南極クルーズの思い出はわたしにとって今でも色褪せない宝物だ。また新たな出会いを楽しみに、きっと私はクルーズに乗船するであろう。

メンバープロフィール

RIKA
RIKA
旅行好きな祖母と国内旅行を楽しむ幼少期、高校在学中の交換留学を経て海外旅行にはまる。結婚後夫婦で一年間の世界一周の旅へ。
バックパッカースタイルでの旅はトラブルも多かった。
ただホテルステイでは経験できないような人との出会い・人の優しさにふれることのできる旅だった。
この旅の途中でセレブリティクルーズに乗船。
2019年ニュージーランドに親子留学。この経験から旅を子供の学びの場とも捉えるように。クルーズでの旅は、世界中の人との出会いを通して文化や教育を知ることができるでしょうし、英語のインプット・アウトプットの場としても最適な旅だと思います。
若い世代のファミリーにもクルーズの良さをお伝えしていきたいです。tabibiyori instagram

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