旅は楽しみ、発信は丁寧に。旅猫あやが思う「クルーズアンバサダー」のあり方

神戸を拠点に国内外を旅し、その魅力をインスタグラムで発信している「旅猫あや」さん。元添乗員という経歴を持ち、現在は旅系インフルエンサーとして活動しています。

CRUISE Ismでも国内外を問わずさまざまなクルーズの乗船取材を経験し、自身の体験をもとに数多くの乗船記を執筆してきました。

長年にわたり旅の魅力を伝え続けてきた彼女は、どのようなことを意識して情報を届けているのでしょうか。発信活動を始めたきっかけから、写真と文章へのこだわり、クルーズアンバサダーとして大切にしていることまで伺いました。

添乗員時代に始めた旅の発信

旅猫あやさん(以下、あやさん)が旅の発信を始めたのは、添乗員として働いていた頃。ツアーに携わるなかで、海外旅行に興味を持つ人が、少しずつ減っているように感じたそうです。

「海外に興味を持ってくれる人が増えたらいいなと思って、はじめは旅先のきれいな景色などを簡単に投稿していました。最初からSNSを仕事として考えていたわけではなく、ただ自分の旅行の記録を残したいというスタンスだったんです。数人にでも『ここに行ってみたい』と思ってもらえたらいいな、っていう感覚でした」

数年間の発信を経て、転機となったのはコロナ禍でした。添乗員の仕事がなくなってしまったことをきっかけに、本格的にインスタグラムへ取り組むように。投稿の作り方を学びながら試行錯誤を重ね、時間をかけて発信を続けるうちに、フォロワーも少しずつ増えていきました

クルーズで出会った、忘れられない景色

あやさんが初めてクルーズを経験したのは、PRの仕事で乗船した「コスタ ネオロマンチカ」。それ以降、国内外で計13回の乗船(2026年8月現在)を重ね、さまざまなクルーズの魅力を伝えてきました。とくに印象に残っているのは、ヨーロッパのリバークルーズだそう。

「街の景色が美しいのはもちろんですが、現地の人の生活もよく見えるのが楽しいです。夏だったので夕方になっても明るくて、平日なのに川辺の公園に来て本を読んでいる人とか、生活を楽しんでいる様子が羨ましいな、なんて。流れる景色をずっと楽しめるのも、リバークルーズのよさですよね」

さらに、これまでの乗船経験から、船酔いが心配な人にもリバークルーズはおすすめだと話します。

「海に比べて揺れも少ないですからね。大海原に出て行くわけでもないので、岸から近い安心感もありますし、実は初心者向けなんですよ

発信者として大切にしていること

たとえ仕事であっても、まずは自分自身が楽しむことを大切にしていると話すあやさん。

「もちろん仕事として行かせてもらうときは緊張感もありますが、自分が楽しんでいる姿を発信すればいいと思っています。プライベートの旅とあまり変わらないかもしれません」

とはいえ、仕事として乗船する際には事前のリサーチも欠かしません。公式サイトやSNSで船の特徴を調べるほか、過去に乗船した人がどのような写真を撮っているのかもチェック。一方で、発信のテーマや構成を乗船前から細かく決め込むことはせず、実際に体験してから投稿の内容を考えているといいます。必要な素材を押さえる感覚は、取材を重ねるなかで少しずつ身についていったそう。意外にも、撮影機材はiPhoneのみ

「自分自身の心が動いたものはしっかりと写真に収め、伝えることを意識しています。以前は『なんでも撮っておかなければ』と数千枚もの写真を撮ることもありましたが、経験を重ねたことで、バランスがつかめるようになりました。撮影時に意識していることは、素敵な施設や景色が主役で、あくまで自分は脇役だということ。主役はクルーズなので、どのようにその船や寄港地の魅力を伝えるかっていうのは、常に考えています」

動画コンテンツが主流となった現在も、あやさんの情報発信の中心にあるのは写真とテキスト。自身も旅行先を調べる際には、文章で詳しく紹介されたコンテンツを参考にすることが多いそう。

「施設を紹介するときは、住所やアクセスなどの実用的な情報をできる限り記載しています。投稿文が長くなってしまうこともありますが、それでも、自分自身が旅行を調べるときに欲しいと思う情報を出すことを心がけています。動画はどんどん流れていってしまいますが、写真とテキストなら、見ている人が自分のペースで見られますし、コピペもできますしね。投稿を作るのはめっちゃ時間がかかりますけど、頑張っています」

フォロワーから届くDMにも、基本的にすべて返信するスタンス。「どの船がおすすめですか?」という漠然とした質問には、相手のアカウントを見ながら、その人に合いそうなクルーズを伝えるという丁寧な対応を心がけているそうです。

「せっかく興味を持ってくれているので、もちろん返信します。最後は『CRUISE Ismにいろいろ載っているので、ここを参考にしてください』って送りますけどね(笑)」

「投稿を見てクルーズデビューしました」とコメントをもらうこともあると、笑顔を見せるあやさん。丁寧に届けてきた情報が、誰かの旅の後押しにもなっています。

「自分は特別じゃない」

数多くの乗船取材を経験してきたあやさんですが、クルーズアンバサダーとして大切にしていることを尋ねると、返ってきたのはとても基本的なことでした。

「メールのやり取りは、できるだけ早く丁寧に返すようにしています。支払いが必要なときも、連絡が来たらすぐに対応します。社会人として大切なことをやっているだけなんです」

加えて、取材中は一般の乗客や現地スタッフへの配慮を忘れないことも大切にしていると話します。撮影時には周囲のゲストの邪魔にならないように気を配り、使用する写真に人の顔が写り込んでいれば、分からないように加工をすることも。

「自分は特別じゃないんです。取材で来ているからといって『私が!』と主張することはしないように気をつけています。それから、『誰にでもできることを、誰にもできないほど続ける』ことに意義があると思っていて。特別な撮影のスキルとかもないですが、コツコツ続けることは私にもできるので」

また、アンバサダーとして役立っている知識を尋ねると、「英語」と「海外旅行の経験」だと返答がありました。添乗員として海外を旅してきたあやさんは、乗船中もクルーや現地の人と直接コミュニケーションをとっています。

「もちろん話せなくても大丈夫ですが、クルーは海外の方が多いので、基本的には英語でのやり取りになります。出身地の言語で挨拶をしたり、その国で訪れたことのある場所について話したり、簡単な会話でも距離が縮まりますよ」

華やかなSNSの表側だけでなく、裏側にあるコミュニケーションにも気を配る。特別なテクニックだけを追い求めるのではなく、一つひとつの仕事に丁寧に向き合い、泥臭く続けていく。それもまた、PRを担うクルーズアンバサダーとしての信頼につながっているのでしょう。

旅するために、生きている

今後の目標のひとつは、まだ訪れたことのない国へ行くこと。

「毎年『100のやりたいことリスト』みたいなものを書いているんですが、結局『ここに行きたい』ばかり並んでいるんですよね(笑)。プライベートで乗ってみたいクルーズ船もたくさんあります。アッパープレミアムクラスのちょっといい船で地中海クルーズとかもいいな。オーシャニアクルーズや、リージェント・セブンシーズ・クルーズも気になっています。南米クルーズも行ってみたいし……。それから、夫と一緒にロイヤル・カリビアンのアイコンクラスにも乗ってみたいですね」

次々と国や船の名前が飛び出し、声を弾ませるあやさん。さらに、いつかは長期間のクルーズに乗り、日々感じたことを航海日誌のように発信してみたいという思いも。土地に伝わる文化や伝説など、旅の途中でふと感じたことまで、もっと自由に文章で残せたら楽しそうだと話します。

「私の発信を見て、クルーズは決して特別なものではなく『旅の選択肢』のひとつなんだと、一人でも多くの人に思ってもらえたら嬉しいです」

最後に、「旅猫あやさんにとって、旅とは何ですか」と尋ねました。

「人生そのものですね。旅するために生きています!」

2026年8月24日インタビュー
取材・撮影・執筆:其田雪花
取材後記:
インタビュー中、終始なごやかな笑顔で話す姿が印象的でした。アンバサダーとして軽やかに活躍する姿の裏で、コツコツと努力を重ねており、そうした地道な積み重ねが周囲からの信頼につながっているのだと感じます。世界を飛び回るあやさんの、これからのレポートも楽しみです。

メンバープロフィール

CRUISE Ism 編集部
CRUISE Ism 編集部

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