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こんにちは、一級建築士の喜多島みなみです。
今回は、人生初のヨーロッパ旅行で訪れたフィンランド・ヘルシンキの旅をレポートします。
機内泊2日を含む2泊5日(2025年10月8日から10月12日)という弾丸スケジュールで、建築家アルヴァ・アアルトの作品を中心に、ヘルシンキで見るべき建築を巡りました。 実際に巡ったスポットを写真多めでご紹介します。
フィンランド行きのきっかけ
2025年、フィンランドがアアルト建築群を「アアルト・ワークス」としてユネスコ文化遺産に推薦。
そのニュースをきっかけに、北欧好きの友人と「今こそいくべきだよね!?」と意気投合し、スケジュールを調整しての実現となりました。
仕事の都合上、わたしは2泊5日が限界。限られた時間でどこまで建築を巡れるかが今回のテーマでした。
人生初のヨーロッパ。フィンランドの印象
フィンランドは“日本の延長線のような心地よさ”を感じる国でした。
街は静かで清潔、そして人々はとても親切。地下鉄の乗り場がわからず青年に話しかけると丁寧に教えてくれ、カフェでは店員さんがメニュー選びに手間取っていたら笑顔で待ってくれました。
平日の昼間、老夫婦がゆったりとカフェで過ごす姿に「幸福な時間のあり方」を感じました。
また、犬が電車やカフェにそのまま入れるペットフレンドリーな文化にも感動。
どこか穏やかで、安心できる空気が街全体に流れています。

滞在2日半。建築・デザイン好きのためのヘルシンキの歩き方
今回の旅のテーマは「アルヴァ・アアルトの建築を巡ること」。
さらに、私のWISH LISTの一つである「世界の図書館を訪れること」も叶える旅になりました。
【Day 1】街と図書館をめぐる
アカデミア書店&カフェ・アアルト(ブランチ)

建築家アルヴァ・アアルトが設計した書店。書店内にある家具はもちろんアルテック。
(※アルテックはアルヴァ・アアルトとアイノ・アアルトがデザインする家具、照明器具、テキスタイルを取り扱う家具メーカー)




書店2階にあるカフェアアルトでモーニングをいただきました。2025年8月29日にはCAFE AALTO 新丸ビルがオープンしたばかりで話題ですが、建築好きとしては本店もおさえたいスポットです。



なんとこちらは12時までモーニングメニューが楽しめます。ボリュームも十分で、ブランチのような満足感。10月のカフェラテのマグもビッグサイズでフルーツがてんこ盛り。



天井のクリスタル・スカイライト、入口のブロンズのハンドル、ゴールデンベルのペンダントライト。アアルトがデザインしたプロダクトが実際に空間で使われている様子を体験できます。 アルネ・ヤコブセンのアントチェアが使われているのも、家具好きさんはテンションが上がるポイントですよね。
元老院広場・ヘルシンキ大聖堂

フィンランドを代表する白亜の教会。荘厳なドーム屋根が印象的。外装を修復中でしたが、12使徒の像も部分的に楽しむことができました。
フィンランド国立図書館

新古典主義様式の内装。ここは日本に行く時から絶対に行くと決めていた図書館です。日本では見ることがないテイストの図書館建築で見る価値があります。なんとこの図書館は1840年に設立されたもの。歴史のある建物を継続して利用し続ける精神もいいですね。




木製の入り口扉とローマ神殿のような列柱が並ぶ外観。コートや大きな荷物を預けて「本を楽しむ」空間になっています。






外から見ていると気づきにくいのですが、内部がドーム型になっています。植物をモチーフにした装飾が、柱や手すり部分に施されています。 アトリウムから注ぐ自然光と円形の吹き抜けが織りなす静謐な空間に身が引き締まります。
アルテック本社





アアルトの精神を受け継ぐ家具メーカー。





日本未発売のマリメッコとのコラボ商品もならび、ファンには悶絶のショップ。
秋の名物バルトニシンフェスティバル



1743年に始まったという伝統的な秋のニシン祭りの時期が開催されていました。
港に横付けされた船がそのままお店に変わり、樽漬けや燻製など様々な調理法のニシンを直接購入できます。
オールドマーケット


ニシンフェスティバル開催中の港の脇にオールドマーケットがあり、伝統料理と現代料理を楽しめます。
私が訪れたのは閉店時間の18時をすぎており、ほぼお店はクローズになっていました。かなり奥まで通路が続き、しかも通路を挟んで店舗が立ち並んでおり、オープンしている時間帯は相当賑わっている様子が想像されます。
Fazer Café Citycenter(夕食)

ヘルシンキ中央駅に戻りチョコレートで有名なFAZER直営カフェで夕飯。メインにプラスしてデリを選べるプレートメニューをオーダー。野菜がフレッシュで、北欧の食文化の豊かさを感じました。
Oodi(ヘルシンキ中央図書館)夜の見学

流線形の木造ファサードが特徴的な図書館。こちらは夜21時までオープン。コンセプトは「市民の交流のためのリビングルーム」図書館としての機能以外にも、ゲーム機や3Dプリンターの貸し出し、ワークショップスペースやカフェもあり、あらゆる使われ方がされていました。



もしかしたら夜は夜でガラス面から漏れる光が美しいのでは!?と期待して向かったのですが、やはり夜は暗く建物全容を見ることが叶いませんでした。昼間の様子を見学するべくスケジュール組み直しです。
【Day 2】アアルト建築を堪能
Cafe Tarina(モーニング)






地元の方にも人気のお店なのか、店内は賑わっていました。
食事系からマカロン、ケーキまで揃っています。
アアルト自邸

今回の旅のメインでもあるアアルト邸。




リビングに入った瞬間にため息が漏れます。しかもこの日はお天気に恵まれ、紅葉が始まった木々が風にたなびき、光がゆらめきながら差し込んで来ました。 なんとリビングに使われた大きな引き戸は、日本建築の影響を受けているそう。



アアルトが作業していたスペース。


2階の居室空間。

見学するには事前予約必須です。(日本語対応の日もあります。)私たちの見学時間には他に日本人の方もいらっしゃいましたし、他の国から来ているグループもいらっしゃいました。世界中の方がアアルトの魅力に引き寄せされていますね。
Café Torpanranta



アアルト邸の見学を午前中、スタジオアアルトの見学を午後に設定していたので、徒歩でいける湖畔のカフェで、サーモンスープとトースト・スカーゲンを堪能。
こちらのカフェではおじいちゃん、おばあちゃんのグループが楽しそうにお話ししていて、こんな老後を過ごしたいと北欧ライフに憧れが強くなりました。犬連れの人たちがくつろぐ姿に、またしても“やさしい風景”を見ました。
アアルトスタジオ


住宅街の中に佇むアアルトスタジオ。木製扉にアアルトデザインのドアハンドルが目印です。










模型やマテリアルに直接触れ、椅子に座って体験できる貴重な場所。建築の「質感」を大切にするアアルトの思想が伝わってきます。
Oodi


昼は木の温もりと開放的な空間が際立ちます。
波打つような外観と自然光が、都市と自然の調和を感じさせます。

見る位置によって違う姿を見せてくれます。


1階部分のカフェスペースは、建物の流線にあわあせてこんなに低い天井部分もあります。
地元スーパーで買い出し(お土産と夕飯)



海外にいくと地元のスーパーに行っておきたい。スーパーはそこで生活する方のリアルや物価が確認出来る。
お土産を配る用の小分けにできるお茶とチョコを購入。チョコはやはりFazerをセレクト。

ヘルシンキで過ごす最後の夜。荷物の整理もあるのでお部屋で夕飯を食べることにし、ハンバーグとサラダをセレクト。ちなみに食べ物の物価は日本の1.5倍くらいの感覚。一品がたっぷりな量で満足感があり、「北欧は物価が高い」という印象は持ちませんでしたよ。
【Day 3】晩年の作品に見るアアルトの思想
テンペリアウキオ教会

氷河期から残る天然の岩をくり抜いて造られた教会。銅板の天井が光を反射し、神秘的な雰囲気。




この空間でパイプオルガンをならした時にどのような音色になるのか聞いてみたいですね。岩でできた円形空間の音響が気になります。
フィンランディアホール

晩年の代表作、フィンランディアホール。コンサートホールと大会議場からなる建物。








前日にアアルトスタジオで説明を受けたマテリアルが、実際に空間で使われている様子を見ることができました。

各部位の建築的おさめ方が興味深く、マクロとミクロで見学しました。



フィンランディアホールにはカフェもあります。お時間がゆるす方はランチするのもおすすめ。
ぬくもりを感じる北欧建築

「松や白樺と同じ。人間も自然の一部。自然のサイズに合わせるべきだ。」 — アルヴァ・アアルト
アアルトの言葉の通り、フィンランドの建築は“ぬくもり”に満ちています。
自然と調和し、人の暮らしを包み込む空間。
日本の伝統建築に感じる美意識にも通じるものを感じました。
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取材協力:フィンエアー
メンバープロフィール

- 現在スーツケースで全国のホテルに暮らしている一級建築士です。主に2泊3日でお引越ししております。空間写真、旅行同行写真家、起業家さん向け写真レッスンのお仕事をしております。わたしの発信を通じて各地の魅力や地域の貢献になることを目指して日々活動中です。
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