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金沢発着のクルーズ旅。その前後の時間も、せっかくなら石川ならではの文化にどっぷりと浸かってみませんか。旅立つ前の高揚感をさらに膨らませるような、美しいものに触れる時間を過ごせたら、より思い出深い旅になるはずです。
今回は、金沢から少し足を伸ばし、九谷焼の町として知られる能美市と小松市を訪れました。約360年の歴史を持つ九谷焼は、一度は途絶えながらも再興を遂げ、今もなお進化を続ける工芸。器ひとつひとつに込められた想いに触れることで、旅の時間がより豊かなものへと変わるはずです。
金沢からは車で40分〜1時間ほど。古都・金沢の風情ある街並みを抜け、能美や小松へと向かう道のりもまた旅の一部。
車窓からゆるやかに変わる風景を眺めながら、この土地の空気を感じる時間も、心地よいひとときです。
また、小松空港に加え、2024年3月には北陸新幹線小松駅が新たに開業し、アクセスがさらに便利になりました。金沢発着クルーズの前後に立ち寄るには、ぴったりのエリアです。
九谷焼の魅力に触れる旅へ
九谷焼は、まるで絵画のような美しさを持つ陶磁器。色彩の豊かさと、大胆かつ繊細な絵付けには、ひとつひとつに職人の魂が宿っています。
約360年前に誕生した九谷焼は、一度は途絶えながらも再興を遂げ、今なお進化を続けています。その歴史を知るほどに、一枚の器に込められた想いの深さに心を打たれるのです。

九谷焼の奥深さを、もっとじっくり味わいたい。そんな思いから始まった今回の旅。
ただ眺めるだけでなく、実際に手を動かして職人の技を体感し、九谷焼の器でいただく食事を楽しむ。色彩の美しさや手仕事の温もりが、いつもより特別な時間を演出してくれます。
今回は、そんな五感で堪能する九谷焼の世界を、1泊2日のモデルコースでご紹介します。
「KAM能美市九谷焼美術館 |体験館|」でSDGsな「九谷陶片 ハッピース」作り
小松駅から車で約15分。小松空港から車で約20分。まず訪れたのは、九谷陶芸村です。ここには九谷焼の製造や美術館、ショップなどが集まり、まさに九谷焼の里を訪れたかのような場所。
今回訪れたのは、2024年9月にリニューアルオープンした「KAM能美市九谷焼美術館|体験館|」です。伝統と創造が交差するこの場所で、特別な体験をしてきました。
今回の目的は「伝統工芸×SDGs 九谷陶片 ハッピース」アクセサリー作り。割れたり欠けたりしてしまった九谷焼の陶片を再利用し、新たな命を吹き込むSDGsなものづくり体験です。

驚くべきはその価格。1つワンコイン(500円)で体験できるというのだから、とてもお手頃です。もし迷ったら、複数選んでしまうのも手。3つ選んでも1,500円というのは、かなりお得に感じます。
この価格の秘密は、九谷陶芸村で生まれた陶片を活用しているからこそ。伝統の技が込められた陶片をただ捨てるのではなく、新しい形へと再生させる。その精神こそが、まさにSDGsなのだと実感しました。

私はイヤリングを作ることに。両耳分の陶片を選んでも変わらず500円というのが嬉しいポイントです。

まずは、数えきれないほどの陶片の中から”自分だけのかけら”探し。大小さまざまな破片が並べられ、九谷焼ならではの鮮やかな色彩が目を引きます。
手のひらでそっと転がして眺めながら、「どれが一番しっくりくるだろう」と思いを巡らせる時間は、まるで宝探しをしているようでわくわくしました。


選んだら、陶片にマニキュアで色を塗っていきます。九谷焼本来の華やかさを生かしながら、自分だけの色を重ねていく時間は、まるで小さなアートを生み出すような楽しさ。
仕上げにイヤリングのパーツを取り付ければ、世界にひとつだけのアクセサリーが完成します。

選んだ瞬間は「ちょっと地味かな?」と思った陶片も、マニキュアを塗ると一変。自分だけの色彩をまとった九谷焼の陶片で作ったイヤリングは、手元に残る特別な思い出になりました。
KAM能美市九谷焼美術館|体験館|
住所:石川県能美市泉台町南9番地(九谷陶芸村内)
開館時間:9:00〜17:00(体験受付は16:00まで)
休館日:月曜(月曜が祝日の場合は翌平日休館)、年末年始(12月29日から1月3日まで)
入館料:無料
「SDGs×伝統工芸 九谷陶片 ハッピース」アクセサリー作り体験:500円
「みちこのそばと甘味処」でランチタイム
体験館を後にし、車で約15分、「みちこのそばと甘味処」へ。小松の住宅街をゆっくりと進んでいくと、ひっそりと佇む一軒の家が目に入りました。看板もなく、一見すると普通の民家です。

けれど、ドアをそっと開けた瞬間、その印象はがらりと変わります。築50年の住宅を改装したお蕎麦屋さんに足を踏み入れると、そこにはまるで別世界のような空間が広がっていました。


白を基調とした店内には、美しい骨董品や置物がさりげなく飾られ、静かに時を重ねた品々が空間に趣を添えています。さらに、真空管アンプを通して流れる音楽が、柔らかな空気をまといながら店内に溶け込み、気づけば心も穏やかに……。
お昼のメニューは、潔く「おそば膳(冷・温)」のみ。迷うことなく、そのひと皿を待つ時間さえも楽しみに変わります。

ほどなくして運ばれてきたのは、丁寧に手打ちされた蕎麦と、色とりどりの小鉢、そしてふっくらと炊き上げられた炊き込みご飯。どれも店主のみちこさんが心を込めて作る、やさしい味わいの品々です。
敷地内の畑で野菜を自家栽培しているとのことで、旬の味がそのまま食卓にのぼるのも嬉しいポイント。

冷たいお蕎麦を注文したときのみ提供されるのが、100年以上前の九谷焼の器。みちこさんのお爺さんが大切にしていたという、貴重な器です。
手書きで描かれた絵柄は、時を超えてなお鮮やか。色彩が織りなす美しさに、思わず見惚れてしまいます。一皿ごとに絶妙に形や大きさ、模様が異なるため、友人と見比べるのもまた楽しい時間です。
人気店なので、訪れる際は予約してくださいね。
みちこのそばと甘味処
住所:石川県小松市大領町つ7-2
営業時間:11:00〜15:00
定休日:日・月・火
新進気鋭な九谷焼が集まる「CERABO KUTANI」へ
おいしい蕎麦と九谷焼の器を堪能した後、次に向かったのは、「CERABO KUTANI(セラボクタニ)」。
車で約7分の距離にあり、九谷焼の素地となる磁器土を製造する工場に、ギャラリーや体験工房を併設した九谷焼の複合型施設です。


九谷焼の色彩やデザインに魅了されることはあっても、その“はじまり”に触れる機会はなかなかありません。
ここでは、九谷焼の素地となる粘土づくりの工程を途中まで間近で見学できます。
製土工場が稼働しているのは週2日ほど。もし運よく作業風景を見ることができたら、とても貴重な体験になるはずです。
九谷焼がどれほどの工程を経て形づくられるのか。その奥深さを知ることで、九谷焼のひとつひとつがより愛おしく、大切に思えてきます。

ギャラリーには、窯元の作品を中心にとした商品が並びます。
なかには若手作家をの革新的な作品も。形やデザインには斬新なアプローチが施されており、九谷焼が持つ可能性の広がりを感じます。


「人と被らない、特別な九谷焼が欲しい」そんな方に「CERABO KUTANI」は、まさにおすすめの場所。
個性的な作品が多く揃っているため、お土産や記念に、他では手に入らない特別な一品を見つけることができます。旅の思い出に、ここでしか出会えない九谷焼を手にするのも素敵な体験です。
CERABO KUTANI
住所:石川県小松市若杉町ア91番地
営業時間:10:00〜17:00(最終入館は16:30まで)
休館日:【 12月-3月】火曜日・水曜日・年末年始【 4月-11月】水曜日
※祝日の場合は開館し、翌平日休館
入館料:一般 300円/学生(高校生以下)150円
「錦山窯/ギャラリー嘸旦」で金彩の美を知る
「CERABO KUTANI」を後にし、車でわずか8分。住宅地のなかに佇むのが、九谷焼の名窯「錦山窯」と、その作品が並ぶ「ギャラリー嘸旦(むたん)」です。
錦山窯は、兼ねてより大好きな窯元。何度か訪れているのですが、今回の旅で再訪できるのを、楽しみにしていました。

1906(明治39)年創業の錦山窯は、100年以上にわたり九谷焼の上絵付を専門とする窯元。なかでも、錦山窯が得意とするのは、金彩の技法です。
3代目・吉田美統(よした みのり)氏は、独自の技法「釉裏金彩(ゆうりきんさい)」を確立し、人間国宝に認定されました。
その作品は、日本の豪華客船「飛鳥Ⅱ」ともコラボレーションしており、船内にも飾られているのだとか。海を越えて世界へと広がる九谷焼の美しさに、改めてその魅力と価値を感じます。

現在は4代目・吉田幸央(よした ゆきお)氏がその伝統を守りながら、新たな彩色金欄手の表現を追求し続けています。
早速、錦山窯の工房へ。工房に足を踏み入れると、そこには職人たちの静かで緻密な手仕事が広がっていました。


金箔をカットしていく様子は、まるで紙を切るかのように軽やかでありながら、わずかなズレも許されない繊細な作業。その細やかな手さばきに、思わず息を呑みます。
工房見学のあとは、すぐ近くにある「ギャラリー嘸旦へ」。

ギャラリーには、錦山窯の作品が美しく並び、まるで美術館のような静謐な空間が広がっています。
煌々とした照明ではなく、自然光の陰影の中でこそ際立つ九谷焼本来の美しさ。静かに差し込む光が、繊細な金彩や絵付けの奥行きを際立たせ、器に息吹を与えているように感じられます。


何度訪れても、その美しさに心奪われ、胸の高鳴りが止まりません。
この空間に身を置くだけで、心が満たされ、柔らかく包み込まれるような感覚に浸る……。まさに、私のパワースポット……。
胸の高鳴りを感じながら、今回楽しみにしていた「金襴手」の体験へ。実は今回で2回目の体験なのですが、この空間で体験するのは初めて。
錦山窯が誇る金彩技法を、自らの手で施すことができる貴重な時間です。

まずは器選びから。これまでの体験は、箱物がベースでしたが、器も選べるようにパワーアップ。
ずらりと並ぶ九谷焼の器たちは、どれも愛らしく、それぞれに異なる表情を持っています。ひとつひとつ手に取るたびに、どれにしようかと心が揺れ、迷う時間さえも心地よいものに……。


器が決まったあとは、いよいよ金箔貼りの工程へ。
桜や松、梅など、季節の情景を映した美しい形の金箔を、そっと器の上に貼り付けていきます。
実際に体験してみると、金箔は驚くほど薄く、ほんの少しの力でもふわりと揺らいでしまうほど繊細。その扱いに慎重になりながら、指先に意識を集中させ、一枚一枚丁寧に置いていくたび、器が少しずつ華やかに彩られていきます。

今回は金箔を貼る工程を体験しましたが、これを松や桜の形に切り抜く作業を想像するだけで、その技術のすごさに圧倒されます。長年の経験と研ぎ澄まされた感覚がなければ、この緻密な作業は決して成り立たないはず……。
職人の方々が日々どれほど繊細な仕事を積み重ねているのか、その一端をほんの少しだけ実感できた気がしました。


完成した作品は、約10日ほどで郵送で手元に届きます。仕上げの工程を経て、金箔には繊細な模様が施され、さらに奥行きのある美しさに。自分の手で仕上げた器が、どのような表情に仕上がるのか。
その瞬間を心待ちにしながら、旅の余韻に浸る時間もまた楽しみのひとつです。

また、今回、春から始まる新生活に向けて、器をひとつ迎えることにしました。
錦山窯では、窯としての商品に加え、工房に所属する5人(美統氏・幸央氏・るみこ氏・太郎氏・みふゆ氏)が個人作家として各々作品を製作している構成になっています。
数ある作品のなかから今回お迎えしたのは、吉田みふゆ氏の「Hue.」シリーズの器。
悩んで、何度も手に取っては戻し、また眺め……。けれど、最終的に心が自然と惹かれたものを選ぶ時間は、とても豊かで幸せなひとときでした。
ギャラリー嘸旦
住所:石川県小松市高堂町ト-18
営業時間:アポイント制
「金襴手」体験:22,000円(完成品郵送費込)
※ご予約は1週間前までに
※錦山窯またはギャラリー嘸旦のHPの「contact」よりお問い合わせください
※1日1組限定(最大4名)
九谷焼とともに過ごす極上の癒し宿「ウェルネスハウス SARAI」
「錦山窯/ギャラリー嘸旦」を後にし、車を走らせること約5分。目の前に現れたのは、「ウェルネスハウス SARAI」です。
ここは、ただ泊まるだけの場所ではなく、心と体を癒し、九谷焼に触れる特別な時間を提供してくれる空間。滞在そのものが、一つの“体験”となる宿です。

エントランスに足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは、九谷焼作家・牟田陽日(むた ようか)氏が手がけた壮麗な壁画。花鳥や獣、山水、器……九谷焼の世界が色鮮やかに描かれ、まるで物語の一場面に入り込んだかのような感覚に包まれます。
今回、特別にいくつかの客室を案内していただくことに。


「ウェルネスハウス SARAI」では、能美市ゆかりの若手九谷焼作家8名が、それぞれの世界観を込めた客室をプロデュースしています。
伝統とアートが溶け合い、どの部屋も個性が光る洗練されたデザイン。まるでギャラリーの中に宿泊しているかのような気分にさせてくれます。
私の心が最も高鳴ったのが、九谷焼窯元「上出長右衛門窯」六代目・上出惠悟(かみでけいご)氏が手がけた客室。

もともと上出長右衛門窯の大ファンだった私にとって、この部屋に足を踏み入れる瞬間は、まさに“推し活”のような時間でした。
夕食は、館内のレストランへ。いただいたのは、九谷焼の器が美しく彩る「九谷創作御膳」。

地元の食材をふんだんに使い、一皿一皿に繊細な技と工夫が施された料理。九谷焼の器と料理が響き合い、食べるたびに特別な余韻が広がっていきます。
夕食を終えた後は、スパ施設へ。
大浴場には、九谷焼の巨匠・福島武山(ふくしまぶざん)氏と武腰潤(たけごしじゅん)氏が手がけた大陶板が飾られています。


湯気の中で淡く揺らめく色彩。湯に浸かるほどに、その世界へと溶け込んでいくような感覚に……。身を委ねるうちに、旅の疲れがじんわりと溶けていくのを感じます。
翌朝、レストランの窓辺に座ると、夜とは異なる景色が広がっていました。

目の前には、一面に広がる田園風景。晴れた日には、遠くに白山の雄大な姿も望めるのだそう。
朝食は、シェフが市場で厳選した地元野菜をたっぷり使ったこだわりの一皿を楽しめます。

栄養価を損なわず、なおかつ満足感のあるメニューに仕上げられており、一口ごとに体に染み渡るような優しい味わい。朝の澄んだ空気と相まって、心まで満たされるようでした。
ウェルネスハウス SARAI
住所:石川県能美市石子町ハ147-1
チェックイン:16:00〜20:00
チェックアウト:10:00(水曜日のみ 9:00)
知の森に迷い込む!「石川県立図書館」で過ごす静謐な時間
朝10時、旅の余韻を胸に宿を後にし、金沢へと車を走らせること約35分。九谷焼についてさらに詳しく知りたくなった私は、「石川県立図書館」にやってきました。
2022年7月に開館した石川県立図書館は、単なる読書の場ではなく、訪れる人を新しい世界へと誘う「知の空間」です。

閲覧エリアに足を踏み入れた瞬間、広がるのは天井の高い開放的な空間。

約30万冊の開架資料に加え、約200万冊を収蔵できる書庫を備えたこの図書館は、まさに本の宝庫。ここでは誰もが自分だけの「知の旅」を見つけることができます。
入り口近くの文化交流エリアでは、石川県が誇る伝統工芸品が展示されていました。


一例)
・九谷焼の人間国宝・吉田美統(釉裏金彩)
・輪島塗の人間国宝・山岸一男(沈金)
・金沢漆器の人間国宝・中野孝一(蒔絵)
など、石川を代表する名匠たちの作品がずらりと並び、まるで美術館のような空間に圧倒されます。旅の途中で触れてきた九谷焼が、ここでもまた違った表情で私を迎えてくれることに、不思議な縁を感じました。
1階の閲覧エリアには「里の恵み・文化の香り〜石川コレクション〜」のコーナーが。

石川県が誇る里山・里海・伝統文化をテーマに生物・文化・多様性を学ぶことができます。
九谷焼の関連書籍を手に取り、ゆっくりとページをめくる。これまで旅の中で実際に見てきた九谷焼の世界が、文字や写真を通してさらに広がり、新たな視点が加わっていくのを感じました。
館内には、リラックスして読書が楽しめる空間も大充実。


カラフルなソファが点在し、心地よい空間の中でクリエイティブに浸りながら本の世界に没頭できます。
本棚と本棚の間にひっそりと置かれたソファを見つけ、お気に入りの一冊を手に取る。腰を下ろすと、静かな空気が流れ、まるで時間がゆるやかにほどけていくような感覚になりました。
石川県立図書館
住所:石川県金沢市小立野2丁目43番1号
開館時間:【平日】閲覧エリア 9:00〜19:00/文化交流エリア 9:00〜21:00
【土・日・祝】閲覧エリア/文化交流エリア9:00〜18:00
休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始、特別整理期間
「お家ダイニング 酒楽」で味わう金沢の味
「石川県立図書館」を後にし、車でわずか4分。向かったのは、地元の人々に愛されるカジュアル居酒屋「お家ダイニング 酒楽」です。
ここは、「とにかくおいしいものをたくさん食べていってほしい!」というマスターの想いが詰まった一軒。料理の美味しさはもちろん、コスパ抜群のメニューが並び、地元の人たちに愛されているのも納得です。

金沢といえば、海鮮。だからこそ、この店でぜひ味わってほしいのが「ブリ丼」です。日替わりランチのひとつでありながら、一年を通してほぼ定番として登場する看板メニュー。
テーブルに運ばれてきた丼には、艶やかに輝く分厚いブリの切り身が惜しげもなく敷き詰められ、その豪快なビジュアルに思わず見惚れてしまいました。

ひと口頬張ると、脂がのったブリがとろけるような食感を生み出し、噛むほどに旨みが広がります。ご飯は地元・石川県産のものを使用し、そこに絡むのは、金沢のヤマト醤油をブレンドした特製醤油。この甘めの醤油が、ブリの旨みをさらに引き立て、食べるたびに幸せな気持ちになります。

セットには、サラダ、パスタ、小鉢、そして味噌汁がついており、ボリューム満点。この充実感でこの価格?と思わず驚いてしまうほど。
実は、店の近くには美大があり、学生さんにも気軽に食べてもらえる価格設定にしているのだそうです。マスターの心意気が、料理の味とともにしっかりと伝わってきました。
お家ダイニング 酒楽
住所:石川県金沢市小立野5丁目1-13
営業時間:【火〜金】11:30〜14:00/17:00〜23:00
【土・日】17:00〜23:00
定休日:月曜
九谷焼が生む余韻を抱いて

今回の旅では、九谷焼の美しさにふれ、その歴史と技を体験し、食の時間さえもアートへと昇華させることができました。器ひとつにも物語があり、それを知ることで旅の深みが増していく。九谷焼に込められた職人たちの想いを感じながら、旅の余韻に浸る時間は、何にも代えがたい贅沢なひとときでした。
金沢発着のクルーズ旅。その前後の時間も、この地ならではの美しいものにふれることで、より特別な思い出として心に刻まれるはずです。クルーズという非日常の旅へと向かう前に、あるいは帰港した後に、九谷焼の里を訪れ、その奥深い世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか?
執筆:土屋香奈
取材協力:一般社団法人金沢港振興協会
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